仮面花嫁~極上社長は偽り妻を乱したい~


「どこの部署ですか?」
「レストラン事業部です。これからの出店には若手社員の意見も反映させたい意向だそうですよ」


優莉は若手に違いないが、まだ入社して一年目のペーペーだ。店の仕事を覚えたばかりで戦力になるとは思えない。


「……私なんかで大丈夫なのでしょうか」


本社という恐れ多い場所で働くのは、今の優莉にはまだ荷が重い。なによりも経験が浅すぎる。


「新人だからこそできる発見もあると私は思いますよ。そんなに気負う必要はないです」


気持ちを軽くさせようと、寺岡はにこやかに言った。

この店のエリア統括マネジャーの寺岡がこうして打診しているのだ。優莉の異動はお伺いではなく決定事項なのだろう。だとすれば優莉はそれに従う以外にない。


「承知いたしました。喜んでお受けいたします」


優莉は背筋を伸ばして異動を受け入れた。

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