仮面花嫁~極上社長は偽り妻を乱したい~
ハッとして我に返った。
「どうかしたのか?」
門倉に顔を覗き込まれ、「ううん」と作り笑いで誤魔化す。やって来たエレベーターに急いで乗り込んだ。
門倉とふたりで入ったのは、隣の商業ビルにある洋食レストランだった。
ふたり掛け用のテーブルに案内され、それぞれ本日の日替わりを注文。待っている間に午前中に教えてもらった仕事をお互いに報告し合った。
ふと三十代前半くらいのビジネスマンのふたりの会話が、隣のテーブルから漏れ聞こえてくる。
「この前、妹の後輩に付き合ってくださいって告られてさ」
「えー! マジか。羨ましいな」
「でもその子、まだ大学生なんだよ。ひと回り近く年下」
ひと回りという言葉に優莉が反応する。つい聞き耳を立てた。
「軽く犯罪だな」
「だろう? ちょっと離れすぎてるよな?」
「ジェネレーションギャップってやつ? 女子大生だとちょっと子どもって感じもするかもな」