仮面花嫁~極上社長は偽り妻を乱したい~


「え、なんだよ、気になるじゃんか」


門倉は食い下がったが、そこでタイミングよく日替わりのハンバーグランチが運ばれてきて、彼の意識はすっかりそちらに持っていかれた。

いただきますと手を合わせてフォークとナイフを持つ。


「あ、そういえば、例のデートはどうだった? もう終わったんだろう?」


優莉の思惑とは反対に、話題が隼関連に舞い戻った。


「あ、うん。普通にご飯食べて終わりだよ」


話を振られたため、一緒にサンドを食べて水族館を見て回り、手を繋いで走ったシーンが蘇る。おまけにそれからの隼との毎日まで頭の中で自動再生されるという悪循環。どの瞬間も楽しくて、隼の顔を思い浮かべるたびに胸の奥がきゅうっとなった。

――私、隼さんを好きなんだ。

今こんなところで気づかされるなんて。

昨夜のキスでオンとオフのスイッチが切り替わったみたいに、それまでとは全然心が違う。でも決して報われない永遠の片想いだ。

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