仮面花嫁~極上社長は偽り妻を乱したい~
「あれ? 事務局の文書は読んでいませんか?」
「読みました、けど……」
今日の案内は、社内メールに添付されて三日前に店宛のメールアドレスに届いた。きちんと目を通したと思っていたが、そんな注意書きはあっただろうか。
首を捻って考えても、記憶にない以上思い出せるはずもない。手もとになければ確認もできない。
「ともかく行こう。ふたりとも乗って」
傍観者と化していた隼が運転席から助手席に回り込み、ドアを開ける。
「は、はい」
彼に背中をそっと押されて乗り込んだ。
後部座席に宇賀が乗ったのを確認してから、隼が車を発進させる。走りだしの滑らかさが心地いい。
――と思ったのも束の間。背後からカメラの気配がして息を止める。恐る恐る首を回して振り返ってみると、カメラのレンズが間近にありびっくりさせられた。
視線をパッとフロントガラスに戻す。止めていた息が我慢しきれずに口から漏れた。