仮面花嫁~極上社長は偽り妻を乱したい~

「だ、大丈夫です。私の実家、沖縄なんです。遠いですから」


親への挨拶だと言われて気が焦る。これがもしも近場だったらと思うと恐ろしい。まだよく知らないが、佳乃の性格だったら明日にでも行きそうな勢いだ。なにしろ管理会社から聞いて、すぐにここへ来たのだから。


「あら、沖縄なの? いいところにお住まいなのね。観光がてら行くのもいいし。ね、隼」


どうしよう……!

かえって乗り気になってしまった。


「俺もまだ会ってないから、母さんはもう少し待ってて。きちんとセッティングするから」


ハラハラする優莉と対照的に隼が穏やかに話をまとめようとする。それがいかにも本気に聞こえるから、優莉はべつの意味で胸をドキドキと高鳴らせていた。


「な? 優莉」


優しく笑いかけられ、ぎこちなく微笑み返すしかできない。この場を丸く収めるためだとわかっているのに、彼の目が真剣に見えるから厄介だ。

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