仮面花嫁~極上社長は偽り妻を乱したい~


「はい!」
「おいおい。俺のデートの誘いよりそっちの方がうれしそうだな」
「だって、おいしいものは」
「世界を救う、だもんな」


隼に先を越された。


「そうです」


優莉がふふふと笑うと、隼もクスッと笑った。


約一時間後、高速道路を通って隼が優莉を連れてきたのは海辺にあるレストランだった。

看板には懐石料理『花いかだ』と書かれているが、真っ白な外観の建物はどちらかといったら洋館風だ。昼間だったら青い空と海に映えて、さぞかし美しいだろう。

予約してあったらしく、出迎えた女将らしき女性に個室へ案内された。懐石料理から連想する和室ではなく、テーブル席なのはうれしい。
丸い窓の向こう、少し下がった位置に砂浜が見え、海鳴りのような音が聞こえる。


「懐石料理なんてはじめてです」


ししおどしのあるような場所だったら、緊張は今の比ではなかっただろう。テーブルのため気楽には感じられる。

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