仮面花嫁~極上社長は偽り妻を乱したい~
優莉を解放した隼が髪をくしゃっと撫でる。手を引かれて立ち上がったが、キスの余韻か足がふらついた。
「ひとりで大丈夫? 一緒に浴びようか?」
「だ、大丈夫です」
隼にからかわれて激しく首を横に振る。逃げるようにバスルームに入った。
ひと足先にシャワーを浴び終えた優莉は、バスローブ姿でベッドルームに入った。リビング同様にマリン系のファブリックで揃えられ、品のある部屋だ。
濃厚なキスもはじめてなら、その先も未経験。知識としてはあっても、実際にどうなるのかは未知の世界だ。
気持ちが落ち着かなくてベッドの周りをぐるぐると歩き回る。そうしてもはやる想いに歯止めは効かず、今度はベッドの上に正座をした。
大丈夫。きっと心配いらない。
自分に何度も言い聞かせる。
隼がリードしてくれるからなんの問題もないのはわかりきっているが、すべてを暴かれるのかと思うと気が気でない。
精神統一するつもりで背筋を伸ばして正座して待っていると、ドアが開いて隼が入ってきた。彼もバスローブ姿だ。