仮面花嫁~極上社長は偽り妻を乱したい~

「俺はうれしいけど」
「……え?」
「優莉のはじめてを全部もらえるのかと思うとゾクゾクする。だからなにも心配するな。俺に身を任せればいい」


手を引かれ、唇が重なり合う。さっきの激しさと違って、穏やかで優しいキスだった。きっと隼は優莉の不安を取り除こうとしているのだろう。
彼が大丈夫だと言っているのだ。優莉は余計な心配をせずに体を預けるだけ。

優しく重ねるキスが優莉の不安を溶かし、強張った体を解していく。
口づけをしながらゆっくりと体を倒され、ベッドに横たわった優莉を隼が見つめる。その熱っぽい視線だけで胸がいっぱいになり、息が苦しい。


「優莉、好きだ」


甘く囁く吐息が唇にかかり、気が遠のきそうになる。このまま時間が止まればいいのに。
そう願わずにはいられない。

優莉に両手を重ね合わせ、隼は指を絡ませた。
再び落ちてきたキスは唇から首筋へ下りていき、バスローブの結び目が解かれる。合わせ目からそっと隼の手が滑り込んできたときに体が強張ったが、大丈夫だよと優しくキスをされ、優莉は静かに目を閉じた。

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