仮面花嫁~極上社長は偽り妻を乱したい~
◇◇◇◇◇
瞼に光を感じながら、心地のいいまどろみが優莉を包む。
おいしい食べ物以外に、こんなにも幸せを感じるものがあるとは知らなかった。
もぞもぞと足を動かし、少しずつ目覚めの準備を整えていく。ゆっくりと瞼を開けた優莉はそこでハッとした。隼の姿が隣にないのだ。
えっ、どこに行ったの……?
うつ伏せの状態から上体を起こし、自分がなにも身に着けていないのを思い出して毛布にくるまる。
もしかして、昨夜の優莉に失望して先に帰ったとか。隼に限ってそんなはずはないと思いながらも、処女だった優莉が彼を満足させられなかったのではないかと不安になるのも当然だ。
毛布を体に巻きつけて起き上がったときだった。
ベッドルームのドアが開き、そこからすっかり着替えた隼が入ってきた。
「泣きそうな顔してどうした」
ベッドに腰を下ろし、優莉の髪を撫でる。
「置いていかれたのかと思って」
「なんで俺がそんなことするんだよ」
「……隼さんから見たら私は子どもで、きっと満足させられなかったんだろうなって」