仮面花嫁~極上社長は偽り妻を乱したい~
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一時間後、車が停められたのは海のそばにある大きな水族館だった。敷地内には遊園地もあり、観光地として人気のあるエリアである。
ここにおいしいものが……?
どこかのレストランで昼食をとるのだろうと考えていたため、降り立ってはみたものの優莉は不可解でならない。
「ここ、水族館ですよね?」
「べつのものに見えるのだとしたら、それはそれで興味深いね」
「少なくともレストランではなさそうです」
率直に答えると隼は「ぷっ」と軽く吹き出した。
でも優莉にしてみても、こういった場所で助かったのが正直なところではある。というのも優莉の服装は、高級レストランに入れるようなものではないから。モヘアの真っ赤なセーターにスリムなデニムという、しゃれっ気のないスタイルなのだ。
もしかしたら隼はそんな優莉だからこそ、こういった場所を選んだのかもしれない。
「ここにキミの希望するものがある」
「この中にですか」
「そう」