仮面花嫁~極上社長は偽り妻を乱したい~

「そういえば見たよ、社内報」


明日美がニヤニヤしながらグラスを置く。


「あぁうん。みんなに見られてほんとに恥ずかしい」
「でも意外と楽しそうだったじゃない。クラブハウスサンドを並んで食べる写真なんて本物の恋人みたいに見えたし」
「や、やだなそんな……」


本物の恋人に反応して目が泳ぐ。


「優莉の代わりに異動してきたふたつ上の先輩も、いいなぁってずっと連呼してた。ほんっと羨ましい。……って、あれ? その指輪どうしたの?」


左手の薬指に光るリングに気づいた明日美が食い入るように見る。


「本社で彼氏ができたの? あ、もしかして門倉くん?」
「違うよ、違う」


慌てて否定する。


「え、じゃあ誰? 彼氏なんでしょ? やだ、どうして教えてくれなかったの?」

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