仮面花嫁~極上社長は偽り妻を乱したい~
「や、まだできたばかりだから……」
「それで誰なの? 私の知ってる人?」
続々と運ばれてきた料理そっちのけで、明日美がものすごい勢いで食いつく。
いつも明日美ののろけ話を聞いて羨ましがっていた優莉としても白状したい気持ちはやまやまだが、相手が相手だけに彼の意向も聞かずに話すわけにはいかない。その彼氏が隼だと知ったら、明日美はきっと卒倒するだろう。
「ううん、知らない人なの」
嘘をつく心苦しさはあっても、話せるようになるまで仕方がない。優莉は心の中で明日美に謝りながら、これ以上詮索されませんように……と願う。
「じゃあ今度紹介してね」
「うん」
そんな日が本当にくるのかは定かではないが、優莉も願いを込めてうなずいた。
「でもクールブロンも最近大変だよね」
「え? なにが?」