仮面花嫁~極上社長は偽り妻を乱したい~
店で出されるメニューはシェフたちが試行錯誤して作り、その料理にぴったりの名前をレストラン事業部で付けている。それがどれもこれも似通っているのだ。パクリと思わずにいられない。
隼はそれを見越していたのか、適当に選んで注文を済ませて料理を待った。
十分後、次々と運ばれてくるランチメニューは見た目もクールブロンのそれとそっくりだった。まるで自分の店にいるような感覚にすらなる。
「いただきます」
揃って食べはじめ、ひと口目で顔を見合わせる。
「味はちょっと」
「違うよな」
「こう言ってはあれですけど、うちの方が断然おいしい」
「俺もそう思う」
見た目こそそっくりだが、味はいまひとつ。あか抜けないといったらいいのか、ブレているといったらいいのか。
それは出されたどのメニューも同様で、ふたりで首を傾げながらの食事となった。
「おや、これはこれはクールブロンの社長さんじゃないですか」