仮面花嫁~極上社長は偽り妻を乱したい~
隼がばっさりと切り捨てるように言うと、高村という男は眉をピクッと動かした。
「またずいぶんと手厳しいひと言だね」
「うちのメニューを真似たのかなんだか知らないが、味ばかりはそうはいかない」
「真似た? なんの言いがかりなんだか」
そっくりの料理を出しておいて言いがかりはないだろう。優莉も不満を覚える。
「これは失敬。パクったと言った方がよかったか。それとも模倣か」
隼と高村の間に火花が飛ぶ。にらみ合うふたりはしばらく言葉もなくそうしていたが、その緊張を破ったのは高村の方だった。
「ともかく、楽しいランチタイムを邪魔したようで悪かったね。連れの女性にもお詫びを」
そう言って素早く優莉の手を取ったかと思えば、その甲にキスする真似をした。
「やっ……」
彼から慌てて手を引き抜いたが、あまりの早業だったため出遅れる。