仮面花嫁~極上社長は偽り妻を乱したい~
「おい、なにをするつもりだ」
隼が鋭い視線で高村を睨み上げる。
「だからお詫びをね。それではどうぞごゆっくり」
胸に手をあて恭しく頭を下げた高村は、最後にいやらしい視線を隼に向けて立ち去った。
「優莉、大丈夫か?」
「……はい」
「手、貸して」
言われるまま隼の方に手を伸ばす。すると彼は高村にキスされそうになった甲をナフキンで拭い、自分の唇を押し当てた。
「消毒完了。これで大丈夫だ」
そんな対応がくすぐったいうえにうれしい。
「でも、キスはされなかったから」
「あいつの息がかかっただけでも許せない」
忌々しく言って、隼は悔しそうに顔をしかめた。