仮面花嫁~極上社長は偽り妻を乱したい~
「さぁ、気を取りなおして、出されたものは残さず食べよう」
作った人に対する敬意を忘れない姿勢は、優莉も学ぶべき点だ。口に合わなかろうが、自分で注文した以上、責任をもって食べきる。
「はい」
優莉ももう一度フォークとナイフを持ち、食べかけの料理をせっせと口に運んだ。
店を出て隼の車に乗り込む。
「あのお店のオーナーとお知り合いなんですか?」
店では話しづらくて聞きそびれていたが、あんなやり取りを見たため気になって仕方がない。
ゆっくりと発進させながら隼が口を開く。
「クールブロンを立ち上げる前に同じ会社で働いていた男なんだ」
「元同僚ですか」
「そう。ちょっといろいろあってね。彼は勝手に俺に恨みを抱いてる」
「恨み……?」