仮面花嫁~極上社長は偽り妻を乱したい~
そう言われてすぐに思い出した。隼と一緒に行ったミニョンミネットのオーナー、高村だ。
「今日はあいつと一緒じゃないのか」
優莉の周りを見て尋ねる。この前のように不敵な笑みを浮かべるわけでもなければ、高圧的でもない。嫌な感じの態度でないのは、隼がここにいないからかもしれない。
「はい。仕事の途中なので」
「キミ、霧生の彼女?」
「えっ……あ、いえ……」
唐突に聞かれたため中途半端な否定になる。
「休日に一緒にランチしてるくらいだから、まぁそうなんだろうね」
「いえっ違うんです」
関係性のあまり良くない相手にプライベートは知られない方がいいだろう。しかも、ここは公道だ。ところが優莉が否定しても、高村は優莉を彼女前提で話しはじめた。
「あいつには気をつけた方がいいよ」
「……はい?」
「紳士ぶってるけど、昔から女関係は派手だったから。あっちこっち手を出して、泣く女性を何人も見てきたしね」