仮面花嫁~極上社長は偽り妻を乱したい~
いきなりなにを言いだすのかと思えば、隼の悪口だった。
でも隼は、あっちこっちに手を出すような節操のない人ではない。
「隼さんは……彼はそんな人じゃありません」
うっかり名前で呼び、急いで言いなおす。高村がニヤッとしたのは、優莉はやはり隼の彼女だと確信をもったからだろう。
「クールブロンのシェフは半数が女性だし、たぶんそのシェフたちも霧生の手にかかったんじゃないかな」
毒牙にかかったような言い方はやめてほしい。
たしかにほかのレストランに比べたら女性シェフの割合は多いのかもしれないが、それは隼をはじめ、クールブロンの人事担当者が男女の区別なく腕だけで評価しているからだ。
「キミみたいに若い子ならなおさら簡単。あまり深い入りしない方が身のためだよ」
「そんなことありませんっ」
つい興奮して言い返す。若いと言われて余計に拒絶反応が出る。ただでさえ隼との年齢差が気になり、子ども扱いされるのは嫌なのだ。