仮面花嫁~極上社長は偽り妻を乱したい~
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その夜、サプライズで隼の誕生日を祝おうとケーキとシャンパンを買い、たまには奮発して腕を奮おうとローストビーフを作った。
準備は万端。帰ってきたらクラッカーを鳴らして驚かせようとワクワクしながら待つ。
ところが時計が九時を回っても十時を回っても、隼は帰る気配がない。仕事中だったら邪魔になるかと思いつつ、『帰りは何時頃ですか?』とメッセージを送った。
そこからさらに待つこと一時間。メッセージは既読にもならず、時間だけがただ過ぎていく。
……どうしたのかな。
連絡もなしにここまで遅くなるのははじめてのため、なんとも落ち着かない。
せっかく用意したんだけどな。前もって予定を聞いておけばよかった。
がっかりしたが、仕事で忙しい彼を責めるわけにはいかない。しかも今はシェフの引き抜きで神経をすり減らしているときだ。
遅くまで起きて待っていたら逆に隼が気にするかもしれないと、午前〇時を回るのを見届け先に休もうとベッドにもぐり込んだ。