仮面花嫁~極上社長は偽り妻を乱したい~
「仕事で疲れたときに、これを見て元気をチャージするんだから消せないよ」
「そんなので――」
できないと言おうとした唇が隼に塞がれる。言葉はそのままキスに飲み込まれた。
こんなにも甘いキスをくれる隼が、優莉を泣かせるはずがない。
昨日会った高村の言葉に少なからず動揺した優莉は、隼のキスで自信を取り戻す。
隼は優莉の唇をやわらかく啄むようにしてから、最後に軽く吸って離れた。
「優莉、今からフランスに飛んでくる」
「今から? フランスに?」
隼に抱き起され、ベッドに向かい合って座った。
「シェフを捕まえてくる」
既存店であればスーシェフでひとまず回せるが、オープン間近の店ではそうはいかない。
「そんな簡単に見つかるんですか?」
「ひとり心当たりがあるんだ。直接行って口説いてくるから」