仮面花嫁~極上社長は偽り妻を乱したい~
こんなに朝早くから発つなんて。誕生日のお祝いもできない。
寂しさに肩を落としそうになったが、わがままを言ってすがるわけにはいかない。子どもみたいな真似はしたくなかった。
「すぐに朝ごはん作りますね」
「いやいいよ。飛行機の時間があるから、もう行かなきゃならない」
それならなおさら早く起こしてほしかった。
「そんな顔するな。置いていけなくなるだろ」
隼に鼻を摘ままれ「ふがっ」なんてかわいくない声が出る。立ち上がってベッドルームを出ていく隼を追いかけた。
「それじゃ、行ってくる。あ、そうだ。コースター、いいものができそうだな」
「見てくれたんですか!」
「ああ。事業部の部長から見せてもらったよ。お客さんにも喜んでもらえるだろう」
「ありがとうございます!」
隼に褒められて一気に元気を取り戻し、俄然やる気がわいてくる。
満面の笑みを浮かべる優莉を隼は優しい目で見つめた。