仮面花嫁~極上社長は偽り妻を乱したい~


「電話するから」
「はい、待ってます。あ、それと一日遅れちゃいましたが、お誕生日おめでとうございます」


隼は一瞬目を点にしてから、「あ、そうか。誕生日だったな」と髪をくしゃっとかき上げる。


「そうです。昨日は桃の節句でした」
「ひと言余計だ」


クスッと鼻を鳴らしてから、「もしかして昨夜、なにか準備してた?」と続ける。


「……あ、いえ」


心配そうにする隼に、目を泳がせながら否定した。冷蔵庫に入れておいた料理やケーキに気づかなかったようだ。気を使わせるから、かえってその方がいい。


「フランスから帰ってきたら、お祝いさせてくださいね」
「楽しみにしてる」


隼は触れるだけのキスをしてからキャリーバッグを引いて玄関を出た。

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