仮面花嫁~極上社長は偽り妻を乱したい~
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隼がフランスに経って三日が経過。その間に何度かあった電話やメッセージでは、シェフの説得にはもう少しかかりそうだと言っていた。
隼と一緒に食べられなかったケーキは二日に分けて優莉が完食。ホールケーキを独り占めできる幸せよりも、寂しさを感じるのが不思議だった。
とはいえ隼ががんばっているのだ。自分も少しでも力になりたい。せめてオープンまでの準備を万全して彼の帰りを待とう。
コースターは納入を待つばかりとなったため、優莉は門倉が担当となった調理器具搬入のフォローで一緒に店へ出向いた。
内装はほぼ完成。既存のクールブロン同様にエイジング加工を施した壁にウッディなフロア、青いチェアがアクセントとなっている。
門倉が備品を確認し、優莉がリストにチェックマークを入れていく。
「社長がフランスから連れてこようとしているのって、三つ星レストランのシェフらしいぞ」
「そうなんだ」
だから余計に難航しているのかもしれない。
でも、本場フランスからそんなにすごいシェフを連れてくるなんてできるのだろうか。オープンまであと少し。時間もない。