仮面花嫁~極上社長は偽り妻を乱したい~


「フランス人と日本人のハーフで、かなりの美女らしい」


優莉はチェックリストから顔を上げた。


「……美女? 女の人なの?」


クールブロンで女性シェフは珍しいわけではないが、高村の言っていた言葉が蘇り、なんとなく胸がざわつく。


「部長たちが話してた。あっちで雑誌にも何度か取り上げられてる人だって。何年か前にも社長が声をかけたけど、あちらの条件を飲めなかったとかでまとまらなかったらしい」
「条件って?」


そこまで名声のあるシェフの条件を飲めなかったのだから、法外に高額な報酬を要求したのだろうか。


「部長たちが言うには、社長の恋人になるのが条件だって」
「……え?」
「嘘か本当かは知らないけど、あの霧生社長だろう? 声をかけられりゃメロメロにもなるって。で、あわよくば彼女になりたいと。男の俺から見てもイイ男だもんなぁ」


門倉の言葉がひとつひとつ胸に突き刺さる。

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