仮面花嫁~極上社長は偽り妻を乱したい~
今回も向こうが同じ条件を出してきたらどうなるのだろう。
オープンするにはシェフの存在は不可欠。どうしても今、連れて帰りたいとしたら条件を飲む以外にないのではないか。
口説いてくると言っていた隼の自信の漲った顔を思い出し、鼓動が嫌な音を立てていく。急に酸素が薄くなった感覚がして息も苦しい。
「優莉、どうかしたのか? 顔色が悪いぞ」
「……あぁううん、なんでもないよ。大丈夫」
ハッとして首を横に振る。
「そうか? じゃあ、スピードアップして終わらせよう」
門倉に発破をかけられ、無理に口角を上げて笑顔を向けた。