仮面花嫁~極上社長は偽り妻を乱したい~

隼から帰国すると連絡があった翌日、門倉や春香など事業部の数人と外でランチを食べ終えて戻ろうとしたときだった。ビル一階のエレベーターへ向かいながら、門倉が「あっ」とあげたワントーン高い声にみんなが「なになにどうした」と反応する。


「社長だ」


門倉が差した指につられて視線がいっせいに動いた。

その先にはキャリーバッグを引きながら歩く隼の背中があり、優莉の鼓動がトクンと跳ねる。空港から会社に直行したようだ。


「霧生社長!」


口々に言いながら駆け寄るみんなの後に優莉も続いた。
ゆっくり振り返った隼と真っ先に目が合い、感極まって思わず泣きそうになる。優しく微笑みかけてきた隼になんとか笑顔で返したが、たぶん情けない顔だったに違いない。


「社長、おかえりなさい」
「ただいま。長い間みんなには心配かけて悪かった」
「いえいえ。ちゃんと結果を出すあたり、さすが社長ですよね。それで、こちらがその方ですか?」

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