仮面花嫁~極上社長は偽り妻を乱したい~
みんながワイワイ楽しそうに話すのを遠巻きに聞きながら、優莉はぽつんとノートパソコンの前に座っていた。
ひとつひとつの言葉がチクチクと優莉の胸を刺し、そこからじわじわと痛みが広がっていく。そもそも自分は隼の恋人なのだろうかと、今さらながら疑問がわいてきた。
一緒に暮らしてはいる。好きだとも言われた。でもだからといって〝付き合おう〟と明確に言われたわけではない。
もしかしたら付き合っていると思っているのは自分だけなのかも……。
足もとを揺るがされるような疑惑に心細くなりはじめたそのとき、デスクの上に置いていたスマートフォンがメッセージを受信した。
――隼さんだ!
今もっとも求めていた相手からのメッセージに体ごと跳ねる。すぐそばに誰もいなかったからよかったが、もしも春香や門倉がいたらどうしたのかと突っ込まれただろう。
みんなが盛り上がる中こそこそと確認する。
【今すぐ三十四階の第二ミーティングルームに来られる?】
なんだろうと思いつつ【すぐに行きます】と返信し、ひっそりと事業部を出た。つい速足になりエレベーターを降りてヒールの音を響かせる。