仮面花嫁~極上社長は偽り妻を乱したい~
ノックをしてドアを開けるや否や、手を引かれて隼に抱きしめられた。瞬間、彼の香りに包まれ胸の奥がきゅうっと縮まる。
「優莉、ただいま」
「おかえりなさい」
「会いたかった」
そのひと言でこれまで抱いていた不安がいっぺんに吹き飛ぶ。まるで最初からそんなものはなかったかのように、つい先ほどまでの心細さがまやかしのよう。
久しぶりの隼をもっと感じたくて、その背中に手を回してぎゅっと抱きついた。こうして抱き合えなかった日の分も想いを込める。
「熱烈な歓迎だね」
体を引きはがされ唇がふわりと重なる。優しく啄んで離れた隼は目を細めて優莉に笑いかけた。その笑顔に胸を撃ち抜かれる感覚がして、心と裏腹に口が動く。
「ここ、会社ですからっ」
完全に照れ隠しだ。
「そうだな。でも久しぶりだからこのくらいは許してもらおう」