仮面花嫁~極上社長は偽り妻を乱したい~


◇◇◇◇◇

奥のスタッフルームにお客を連れていった隼は、大きなテーブルを挟み向かい合って座った。


「この店はお客をなんだと思ってるんだ」


怒りがまだ収まらないお客、いや男は、椅子に背中を預けて足を投げ出し、ぞんざいな口の利き方で顎をしゃくった。


「これをご覧いただけますか」


隼は胸もとから取り出した紙を広げ、男の前に滑らせる。それを見た彼は目を見開き、テーブルに身を乗り出した。


「ここに写っているのは、お客様でお間違いないですよね」


質問ではなく断言だ。
その用紙には、目の前にいる男がクールブロンに食事にきたときの写真が載っていた。遠くから撮影したものを拡大したものだが、どこをどう見ても男本人である。

だが、男はイエスともノートも答えない。

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