仮面花嫁~極上社長は偽り妻を乱したい~
「それじゃ私はこれで。夫が来日したら四人で食事でもしましょうね」
ソフィアは手をひらひらと振りながら階段を下り、颯爽とした足取りで優莉たちの前から立ち去っていった。
「優莉」
優しく名前を呼ばれ、真っ先に頭を下げる。
「ごめんなさいっ」
隼はびっくりしたように目を見張った。
「私、ずっとふたりの関係を誤解してて……。クールブロンのシェフとして来日する条件が隼さんの恋人になることだって聞いたから」
「あぁ、何年か前にはたしかに彼女からそう言われたけど」
やはりその話は本当だったのだ。
「でもそんな条件は俺も飲めないから彼女を諦めたんだ」
「今日もクールブロンのスタッフルームの前でソフィアさんと会ったとき、彼女から敵対心みたいなものを感じてしまって。その後の隼さんの様子もなんか変だったから」