仮面花嫁~極上社長は偽り妻を乱したい~
「すごく寂しかったです」
「俺もだよ」
「早く教えてくれれば、誕生日のお祝いの準備ができたのに」
ずっとお預けになっているから、できるだけ早く祝いたかった。ふたりではじめて迎える隼の誕生日なのだから。優莉のときにはとびきり甘い夜をプレゼントされたから、そのお返しをしたい。
「じゃ、そのお祝いはベッドでじっくりと」
甘い誘い文句にドキンと鼓動が弾む。
隼は優莉をそっと引きはがし、片手にキャリーバッグ、もう片方の手に優莉の手をぎゅっと握りエレベーターに乗り込んだ。
繋いだ手を引き寄せ、隼が甲にキスをする。部屋に着くまで待ち遠しくてたまらないのは優莉も同じ。はやる気持ちを抑えつけ、玄関のドアを開けて中へ入ると同時にどちらからともなく唇を重ねた。
「これはフランスに行った夜の分。それからその次の朝のおはようの分」
軽いリップ音を響かせながら、何度も何度も重ね合わせる。離れていた日数分のおはようとおやすみのキスを数え、最後にそっと食んでから隼の唇が離れた。