仮面花嫁~極上社長は偽り妻を乱したい~

まだ決定していないのなら言わない方がよかったのではないかと言いたいのだろう。大久保は不思議そうに首を傾げた。


「逃げ道をなくそうと思ってね」


誰かに話して自分を奮い立たせたいのだ。


「それと、もしも結婚になれば社内が少し騒がしくなるだろうから、事前に知らせておくという意味合いもある」
「まぁ社長が結婚となれば、それはそうでしょうね。おそらくすごい騒ぎになるかと思います」


大久保は小刻みにうなずきながら言った。


「いや、俺がどうこうではなく相手が」
「まさか社内にいらっしゃると!?」


ここでもまた素っ頓狂な声になる。先ほど以上に驚いたのか、目も口もポカンと開く。


「そういうわけだからよろしく頼む」
「いやぁそうなんですか。まさか社内にね」


まだ信じられないといった様子の大久保は首を捻り捻り社長室を出ていった。

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