仮面花嫁~極上社長は偽り妻を乱したい~

佳乃が箱に入れてきたショコラを皿にひとつずつ取り分ける。


「母さんが、ぜひ優莉に食べさせたいって」


コーヒーを淹れてきた隼は優莉の隣に座った。


「わぁ、ありがとうございます」
「こうして喜ばれると作り甲斐があるわ」


早速いただきますと手を合わせてフォークを入れると、チョコレートがトロッと溶けだした。口に入れるとほのかにあたたかい。


「――んんっ、やっぱりおいしい! 焼き立てですか?」
「そうなの。フォンダンショコラはやっぱり焼き立てが一番でしょう? 完成してすぐに持ってきたの」


そんな心遣いが本当にうれしい。大好きなスイーツだから喜びは倍以上だ。


「それで、あなたたちはいつ式を挙げるの? あれっきりなんの音沙汰もないから、それも聞きたくて来たのよ」


優莉がショコラに入れたフォークの手が止まる。

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