仮面花嫁~極上社長は偽り妻を乱したい~
「隼さ――」
「返事は今すぐでなくていい。優莉にとって一生の問題だ。一度じっくり考えて、それから答えがほしい」
いつも突然で強引な隼が、はじめて見せる慎重な姿勢だった。
突然のプロポーズが優莉の胸を激しく揺さぶる。
じっくり考えるまでもない。いくら考えても答えは同じ。
「今すぐ答えさせてください」
胸の高ぶりを抑え、ようやく声にする。今このタイミングを逃したくない。
ところが、隼は手をひらりと振って牽制した。
「いや、後でいいから」
「後じゃ嫌です。今すぐ聞いてください」
「いいと言ってるだろ。じっくり考えるんだ」
手のひらを優莉に向けて制し、今は聞かないとアピールする。
どうしてそこまで頑なになるのか。
「隼さんの気持ちが変わる前に答えたいんです」
優莉まで必死になる。