仮面花嫁~極上社長は偽り妻を乱したい~
「俺の懐からと言いたいところだけど、じつは霧生社長から飲み会の足しにするといいってもらったんだ」
「えっ!?」
誰よりも早く反応した優莉は、思わず椅子をガタンと鳴らした。声も鼓動も大きく弾む。
優莉より一歩遅れてみんなが「なにそれ、すごーい!」「社長、太っ腹!」とはやし立てる。
「でも、どうして社長が俺らの同期会を知ってたんだ?」
ひとりが放った言葉に優莉はギクッとした。その情報源は紛れもなく優莉だ。
ばれるわけがないと思いながらも、ハラハラして体を小さく縮める。
「だよな。俺もそれは不思議だったんだけど」
門倉も不可解そうに首を捻った。
隣に座っている明日美が優莉の腕を小突く。彼女だけは優莉と隼の関係を知っているため、ニヤニヤという笑みを浮かべた。
「ま、なんにしてもお金をもらってラッキーってことでいいんじゃないか?」
「そうだよね」
最後には隼を称え、ありがたく軍資金を使わせてもらうことになり、優莉はホッとして胸を撫で下ろした。