仮面花嫁~極上社長は偽り妻を乱したい~
「婚約はもう少し先になるが結婚は本当だ」
隼もソファに移動し、ゆったりと腰を下ろす。
「うわぁ本当なんですね。しかもお相手が花崎さんだっていうじゃないですか。あの企画デートがおふたりを引き合わせたんですよね?」
お尻をずりずりと前へ移動させ、隼に顔を近づける。
「まぁそうなるかな」
あれがなければ、優莉との今はなかったかもしれない。接点のない彼女とは、あの企画がなければ出会わなかっただろう。
「だとすると、僕はキューピッドみたいなものじゃないですか? 僕がいたからこそ、ふたりの距離がぐっと縮まったというか。ねぇ、社長」
宇賀がニコニコと屈託のない笑みを浮かべる。
ふわふわとしたパーマヘアはキューピッドに見えなくもないが。それを言うなら、あのパーティーで彼女の番号を引き当てた司会者こそキューピッドと言えるだろう。
とはいえ、目の前でそう言って喜んでいる宇賀の機嫌を損ねる必要はない。