仮面花嫁~極上社長は偽り妻を乱したい~
「そうだな。宇賀には感謝してるよ。ありがとう」
「いやぁ照れるな」
宇賀は盛大に頭を掻いて照れ笑いを浮かべた。
「あ、それから発表はもちろんですけど、結婚の特集も社内報で組ませてください」
「結婚の特集?」
「出会いからの軌跡ですよ。披露宴の様子なんかも掲載したいですねぇ」
「それは勘弁してくれ」
隼は右手を大きく振ってソファに背中を預けた。
そこまで大々的にしたくない。
「なにをおっしゃいますか! なにしろ〝 霧生社長とのドキドキ!? 一日デート券〟を当てた花崎さんが、社長の妻の座まで射止めたんですから」
鼻の穴を広げ、興奮しているのがありありと伝わってくる。結婚式にも乗り込んでくる勢いだ。
企画デートのときに半ば強引に撮影をした彼を思い返し、結婚式でも同じようにされる画が思い浮かぶ。
「その話はまた後でしよう。結婚はまだ内密だからくれぐれも頼んだよ」
「それはもちろんですよ。それにしてもどこに出会いが転がっているかわからないものですよねぇ。いやぁ本当にすごい」
宇賀は何度もそう言いながら社長室を後にした。