仮面花嫁~極上社長は偽り妻を乱したい~


◇◇◇◇◇

午後八時半。仕事を終えた隼は、ある場所へやって来た。
縦列駐車しているたくさんの車に倣い、隼も路肩に車を停める。左斜め前方には、優莉が参加する同期会が開かれているスペインバルがあった。

迎えは必要ないと言われたが、遅い時間に優莉をひとりで帰すわけにはいかない。普段からあまりお酒を飲む方でなくとも、気心の知れた仲間とだったら多少気が緩むもの。なにがあるかわからない。

保護者のような気持ちで優莉が出てくるのを待つ。

みんながいる場所で声を掛けるわけにはいかないため、【店の外で待ってる】とスマートフォンからメッセージだけ送った。

盛り上がっている最中に邪魔だったか?

送信直後にそう思ったが、そうでもしなければ隼に気づかない可能性もあるだろうと開き直った。

タブレットで明日の仕事の準備をしながら店の出入り口を気にかけていると、男女が入り乱れた団体がドアから一気に出てきた。その中に優莉の姿もある。
どことなく頬を上気させているのは、やはりアルコールのせいか。門倉とじゃんけんをしながら楽しそうに笑い合い、勝った門倉は優莉の頬を軽く抓った。

< 316 / 323 >

この作品をシェア

pagetop