仮面花嫁~極上社長は偽り妻を乱したい~
単なる遊びだとわかっているのに仲良くじゃれ合っているように見えるのは、隼の勝手な思い込みだろう。優莉は自分のものという気持ちが働き、目にフィルターがかかってしまうのだ。
まさに嫉妬。保護者的立場でいたはずが、一気に恋人目線に切り替わる。
もしかしてメッセージを読んでないのか?
真っ先に隼の車にやって来てもよさそうなのに、その気配がない。手もとのスマートフォンを確認すると未読のままだった。
優莉は門倉と再びじゃんけんをしながら歩きだした。隼の車の横を通り過ぎ、次第に離れていく。もしかしたらこの後、二次会に流れるのかもしれない。
考えるより先に体が動く。
隼は車から降り立ち、ひと塊になった集団を追った。
「優莉」
隼が名前を呼ぶと、一番うしろにいた社員から順番に振り返っていく。
「えっ、社長!?」
「なんで!?」
口々に言いながら、みんながその目を驚きで丸くする。