仮面花嫁~極上社長は偽り妻を乱したい~
「魚よりキミの方が見ていて楽しい」
「あ、なんですかそれ。はしゃぎすぎって言いたいんですか?」
「小学生を引率している気分だ」
「ひどいです」
さすがに小学生は言い過ぎだろう。せめて女子高生くらいにとどめてほしい。
優莉が眉根を寄せると、隼はクククと肩を震わせた。完全におもしろがっている。
「もうっ」
知らないとばかりに水槽を向くと、またもや宇賀から「記念撮影を」と声がかかる。再三にわたる撮影指示も正直面倒になってきた。
「ささ、ふたり並んでこっちを向いてください」
渋々といった様子で並んだ隼は、突然優莉の耳もとで「走るぞ」と囁いた。息がかかってドキッとしているうちに思わぬ展開となる。
「え?」
走るってなに?と聞く間もなく、隼に手を取られて引っ張られた。反射的に出た足をそのまま前へ進める以外にない。言葉の通りに彼が走りだしたのだ。