仮面花嫁~極上社長は偽り妻を乱したい~


「ああいう場面で準備運動をしている余裕はないだろう? それに俺も同じ条件だ」


それはそうではあるが、ニコニコ顔でそう言われると素直に認められなくなる。
息を整えて背筋を伸ばすと、「行くぞ」と隼は再び歩きだした。


「宇賀に追いつかれる」
「ま、待ってくださいよー」


急いで追いかけ隣に並ぶ。


「でも平気なんですか?」


なにしろ社内報に掲載する記事なのだ。


「あれだけ撮影すれば十分だろ。もう作り笑いはごめんだ」
「たしかにそうですけど」


どのみちサンドを食べて解散だったのだから、水族館での写真があれば十分かもしれない。
ただ、置いてきぼりはちょっとかわいそうな気がする。優莉がうしろを振り返ると、隼は「気にするな。ほら行くぞ、小学生」と手をひらひら振った。


「小学生なんてひどいですっ」

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