仮面花嫁~極上社長は偽り妻を乱したい~
「社長ってば!」
「いいって言ってるだろう? かわいらしくありがとうございますって言っておけ」
隼はかまわずレジカウンターに出し、さっさと会計を済ませる。タグにテープだけ貼ってもらい、優莉に手渡した。
「ありがとう、ございます」
かわいらしいかはべつとして、ぬいぐるみを抱えたまま頭を深く下げると、隼が優莉の髪を撫でた。ポンポンではなく、わしゃわしゃと。おかげで頭を上げた優莉は髪がぐちゃぐちゃになり、それを見た隼はぷっと吹き出した。
弄ばれているのは気のせいか。
「笑うなんてひどいです」
自由になる片手でさっと直すが、鏡がないためどんなふうになっているのかさっぱりわからない。
「でっかいぬいぐるみを抱えて、仏頂面は似合わないぞ」
くくっと笑われた。険しい顔にさせたのは誰だというのだ。