仮面花嫁~極上社長は偽り妻を乱したい~

「各店にそのクレームを言ってくるお客の特徴が似ているんです」
「お客自ら異物を混入させていると?」
「あくまでも可能性ですが。金銭を要求するわけでもなく、店内で大きな声をあげて騒いで帰るというのも同じ。それも料理はほとんどが手付かずなんです」


いったいなんのためにそのようなことをするのか。


「同一人物と思われる各グルメサイトにも【髪の毛が混入していてガッカリ】などという口コミが散見されます」


金銭を要求してこないというのがじつに奇妙である。そういったクレーマーの場合、料理を最後まで食べて代金を支払わないやり口がほとんど。料理を食べるのが目的でもなく、金が目当てでもない。
だとすれば、店の評判を落とすのが目的だろうか。


「今後は、各店でそのお客の情報を共有して連携を図っていくように。またなにかあったら逐一報告を頼む」
「承知いたしました」


大久保は頭を下げ、社長室を後にした。
それと入れ違いに再び美穂が現れる。

< 51 / 323 >

この作品をシェア

pagetop