仮面花嫁~極上社長は偽り妻を乱したい~

隼がそう答えるや否や、宇賀が中に入ってくる。


「社長、昨日はひどいじゃないですかぁ」


やはりそうだった。水族館に置き去りにしたため、恨み言を言いにきたのだ。

宇賀は「失礼します」とひと言断り、隼の言葉も待たずに向かいに腰を下ろした。


「悪かった。あんまり写真ばかり撮られたから、つい逃げたくなった」
「取材なんですからあたり前じゃないですか」
「でも、あれだけ撮れば記事に支障はないだろう?」
「まぁそうですけど」


不満そうではあるが、そこまで怒ってもいないようだ。


「一応確認しますが、昨日のデート企画は記事にしてもよろしいんですよね?」
「そのために同行したんじゃなかったのか」
「そうなんですが、ふたり揃って行方をくらませたから、なにか掲載してはまずい事情でもあるのかと思いまして」


なるほど。宇賀を邪魔者にしてふたりきりになりたかったとか、やましい展開になったのではないかと言いたいらしい。

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