仮面花嫁~極上社長は偽り妻を乱したい~
がしかし、優莉にとってみれば、だからなに?となる。遠い存在、雲の上のような人だから現実味がないのだ。テレビやスクリーン越しに観るイケメン俳優と同じような感じといえばいいのか。優莉の生活圏にはかかわりのない人にほかならない。
そのため明日美やほかの女子社員たちのようにウキウキできないのである。
華やかな世界にいる彼と、一夜限りでもいいからお付き合いしたいという女子たちの意見が優莉には信じられない。
「イケメンじゃ、お腹いっぱいにならないのにな」
ボソッと呟いた優莉に明日美が「なに?」と顔を近づける。
「ううん、なんでもない」
笑って取り繕い、空っぽになった皿に今度はデザートを乗せていく。色とりどりのマカロンやフルーツタルトにフロマージュ。どれもひと口サイズのため、いろいろと味わえるのがうれしい。
抽選会よりやっぱりこっちの方がいいと、順番に楽しんだ。