仮面花嫁~極上社長は偽り妻を乱したい~


ちょっと大げさな気もしたが、優莉が離れた隙にナンパされるあたりは全世界の女子と言っても過言ではないのかもしれない。歩いている途中もチラチラと熱い視線を浴びていた。


「で、どこ行ったの?」
「水族館」
「キャー! デートの定番じゃない!」


バシッと腕を叩かれてついよろける。踏ん張ったせいか、軽く筋肉痛のふくらはぎに痛みが走る。それもこれも昨日いきなり走ったせいだろう。


「魚が目的じゃなかったんだけど」
「じゃあなによ」
「私がおいしいものを食べたいって言ったらそこだったの」
「なのにレストランじゃなくて水族館?」


明日美は不思議そうに目をまたたかせた。


「移動販売車っていうの? そこで売ってるクラブハウスサンドを食べさせてもらったの」
「へぇ。なんかちょっと意外。高級レストランでも行ったのかと思った」


隼の肩書きから想像するのは、どちらかといえばそうだろう。優莉も実際そう思っていた。手軽な食べ物をチョイスするイメージがなかったのだ。

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