仮面花嫁~極上社長は偽り妻を乱したい~
膝から力が抜け、その場に崩れ落ちそうになったそのとき――。
「おい、大丈夫か」
腕を掴まれ、なんとか踏みとどまる。
「……社長?」
隼だった。なぜ彼がここに。
「あれ、キミの住んでるアパートじゃないのか?」
「そう、なんです。帰ってきたらこんな騒ぎになっていて……」
いったいどうしたらいいの?
頭の中は真っ白でなにも考えられない。
轟々と音を立てて燃え盛る炎が、消防車からの放水を浴びて徐々に勢いを失っていく。なす術もなく、ふたり並んで鎮火していく様子をただただ見守った。
「行くあては?」
隼にそう聞かれてはじめて、今夜寝る場所がないのだと気づく。