仮面花嫁~極上社長は偽り妻を乱したい~
「さて! 続きましては五等の高級エステ利用券! こちらの抽選をさせていただきたいと思います!」
ドラムロールが鳴り響き、会場を盛り上げる。一段高くなったステージ上で、大きなボックスの中から司会者が番号札を一枚選んで取り出した。
「九十八番! 九十八番です!」
手を高くあげ、会場内にカードを提示すると、真ん中あたりで「あっ俺! 俺だ!」と声があがる。スポットライトをあてられた彼が「俺にエステ券かよっ」とツッコミを入れると会場内はドッと笑いに包まれた。
その後も四等、三等と抽選が続き、一等の旅行券まで大いに盛り上がった会場は、残る特別賞のデート券の発表を前にしてさらにヒートアップしていく。
緊迫感すらある中、優莉はそれにかまわずせっせとスイーツを口に運んでいた。
「女子社員お待ちかねの特別賞! 霧生社長との一日デート券を手にするのは……」
これで男子社員だったらおもしろそう。
明日美にそっと耳打ちしようとした優莉は、本気で怒られそうだと思いなおして口をつぐんだ。