仮面花嫁~極上社長は偽り妻を乱したい~


「これでも飲んでゆっくりしてな」


差し出されたカップは、白い泡の上に茶色いパウダーがかかっている。


「俺特製のホットミルクシナモンだ。心して飲むといい」


意外なものが出てきた。てっきりコーヒーか紅茶だと思っていたのだ。それもシナモン入りのホットミルクなんて優莉ははじめて。


「いただきます」
「ホットミルクにはリラックス作用や安眠効果があるから、これでゆっくり眠れるだろ」


悲惨な目にあった優莉を気遣ってわざわざ作ったのだと知り、胸をくすぐられた。


「お子様にはミルクがお似合いだからな」


また意地悪を言う。そのひと言がなければ最高だったのに。


「十二歳年上の社長には、戻りたくても戻れない年齢ですみません」


ついノリで言い返してしまった。

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