仮面花嫁~極上社長は偽り妻を乱したい~

直後に目が合い、ふっと笑い合う。意図せずほんわかとした空気が舞い降りた。


「社長、今日は本当にありがとうございました」


カップを持ったまま頭を下げる。


「改まってなんだ」
「混乱して、きちんとお礼もままならなかったので。今夜ひと晩、お世話になります」
「もういいから、それ飲んでおけ。俺も風呂入ってくるから」


そう言って隼はちょっと照れ臭そうにバスルームへ消えた。

彼が淹れてくれたホットミルクは、シナモンが効いた優しい味だった。

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